先が見えない毎日となりました。恐れを抱くことは、身を守るうえで大切です。危険と思われることをなるべく少なくする努力が必要です。
お寺のお薬師さまは、千年の歴史の中で、私たちのご先祖の喜びと悲しみを、ずっと見守ってきました。その長い年月と比べるならば、月日の予定が立たないことは瞬間のことなのかもしれません。この春の花を楽しむことができなかったとしても、一生すべてが台無しになったわけではありません。ただ、少しばかり先の長い坂道を、歩んでいかなかればならないようです。花にちなんだお釈迦さまの言葉があります。
他人の間違いを見ない。他人のした
ことと、しなかったことを見ない。
ただ、自分のしたことと、しなかった
こととだけは、しっかりと見るべき。
うるわしく、あでやかに咲く花でも、
香りの無いものがあるように、
善く説かれたことばでも、
それを実行しない人には実りがない。
うるわしく、あでやかに咲く花で、
しかも香りあるものがあるように、
善く説かれたことばも、それを実行
する人には、実りがある。
うず高く花を集めて多くの花飾りを
つくるように、人として生まれ
またいつかは死ぬ定めがあるならば、
多くの善いことをなせ。
花の香りは風に逆らっては
進んで行かない。
しかし徳のある人々の香りは、
風に逆らっても進んで行く。
徳のある人はすべての方向に薫る。
徳行ある人々の香りは最上であって、
天の神々にもとどく。
徳行を完成し、つとめはげんで生活し、
正しい智慧によって心安らかな人は、
悪いものが近づくことはない。
手を洗うことで危険が遠のくように、心も洗うことで安心を得ます。共にいたわりあう心を得るには、今までの「ものさし」とは違う長さで考え、行動することです。お経を唱え、写経を行い、心を見つめ、世界平和を願い、先祖を尊び、互いの健康を祈り続けましょう。