春のお彼岸法要

3月18日(金曜日)から21日(月曜日)まで

四日間午前10時から30分間ほどのお勤めを行ないます。彼岸会では平和を願い、すべての魂が安らかでありますようお祈りをします。ご先祖代々の供養、また水子精霊の供養を併せて行います。

 

 『てぶくろ』というウクライナ民話の絵本があります。雪の日におじいさんが手袋を落とします。そこへ、ねずみ・かえる・うさぎ・きつね・おおかみ・いのしし・くまが次々と入ってゆき暖を取ります。たくさんの動物に、読みきかせている子どもの目は輝きますが、大人の私たちにとっては、そもそも小さな手袋にそんなに動物たちが入るのかしらと不思議ですし、小さな動物が天敵に食べられてしまわないか心配です。みんなで手袋にぎゅうぎゅう詰めになり暖かくしていると、おじいさんが手袋を探しに来て、それぞれ森の中に帰ってお話は終わります。

 

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 お釈迦さまの涅槃図には、仏さまや弟子たちが別れを悲しむ姿がありますが、そこには多くの動物や虫たちもいっしょに描かれています。食物連鎖の中で弱肉強食の世界に生きる動物たちも、お釈迦さまとの別れを大いに悲しんでいます。

 『涅槃経』には、一切衆生悉有仏性という一節があります。すべてのものに仏のこころがある。すべてのものの「働き」には代えがたい役割があり、それを命と呼ぶことを説いています。

 

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 お大師さまが伝えた曼荼羅には、区切られた中に大小の仏が描かれています。考えや行動が違う、多様な生き方をしているものが、この世界に一緒に過ごしている。それを保ち続けるには、互いに理性を保たねばならないことを表現しています。

 

 どのお話、絵画も、この世界にそれぞれの生き方で共在する命が、みな等しく生きてゆくようにと、私たちに伝えています。一人ひとりの私は、世の中を変えるような大きな力はないのかもしれません。しかしながら、命を活かす心を持ち続けることだけは、忘れてはなりません。