供養について

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 供養という言葉の本来の意味は「尊敬」です。仏さまを尊敬するから供養すると表現します。先祖や亡き方へ敬意を示すことも供養をしていると言い表します。生きるもの同士も敬い合うので供養をしているのですが、これは尊敬すると言いますね。日本では先祖供養という言葉の印象があまりにも強かったからでしょう。

 

 私たちは、両親を始め先祖に対する尊敬心をもって生活をしています。縁ある人々のおかげさまに気づき、真心から感謝することが先祖への供養になります。自分の身上に病気や怪我など、不幸と思うことがあると、これは先祖のたたりだとか、先祖が供養を欲しがっているとか、やたら先祖に、その原因を作り上げる人がいます。先祖供養は、させられたり、してやったりするものではありません。自分がしているのです。いや、させてもらっていると受け止めるべきでしょう。

 

 自分の命の根源に正しく供養できる人は、今を生きていることの喜びと、今後の幸せを十分に感じる事ができます。それが功徳といわれる仏さまからのお恵みです。

 

 供養の基本は、仏(ほとけさま)法(仏の教え)僧(修行をし勉学に励み施設を守る人々)の三宝を大切にすることから始まりました。聖徳太子は十七条の憲法で「篤く三宝を敬え」と記し、東大寺を造った聖武天皇は「朕は三宝の奴なり」といわれました。

 

 では供養するとは、具体的にどのような行為なのでしょうか。それは、ほとけさまに対して、もろもろの供物を真心から捧げることです。供物は、浄水、塗香、生花、焼香、飯食、灯明の六種の供養が基本です。衣服を施し供物を供える利供養、寺院の装飾や仏具を奉納する敬供養、読経・掃除・作業などの修行をする行供養の三種もあります。こうした「お供え」の心を根底にして、私たちはお年忌などの追善供養、卒塔婆供養、施餓鬼供養、開眼供養などを行っています。

 

 困ったこと、苦しいこと、悲しいことがある時は素直に仏さまに、すがって、これらを取り除いていただきましょう。これを祈願と言います。祈願の方法に護摩祈祷があります。これも、火の中へ五穀などの供物を投じ、仏さまに供養し、お祈りをしている供養法です。