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因縁

日々おもうこと

 脱原発ができるならば、それはすべての人の共通の思いです。声高に表現できる人もいれば、今までの仕事や環境によっては、思いを表現するのに時間がかかる人もいます。もしかしたら、その人の「一生」だけでは消化できずに、世代が変わらなければ言えない場合もあるでしょう。長い年月をかけて発展した産業の一部であって、さまざまな立場があるのです。

 

 物には定まった性質はありません

 ですから 人はつねに

 悪人であるはずがありません

 縁に恵まれれば 悪人でさえも 

 正しい道を願うのです

            弘法大師空海

 

 因縁という言葉があります。世の中で耳にする因縁話というのは、前世に悪いことがあったから、今が浮かばれない、病気をするなどの話ですね。本気で病気と向き合うならば、その原因を見つめなければならないですし、生活環境を注意深く改善すべきです。そういう努力をせずに、拝めば治るという単純な感情を持つと、生きる希望は失われます。因縁という言葉の本当の意味は、すべてのものごとは、原因と条件があって、深く関わり合いながら結果に至るのだから、一つ一つを明らかに見ていきましょうということです。神がかりなことや、魔法のお話ではありません。

 放射能が大きな影響を与え続けることは逃れようのない事実です。残念ながら目には見えないものですが、幸いなことに原発から発生したという原因がはっきりしています。専門的な智慧のもと、条件をととのえていけば、長い年月がかかっても、収束へ向かっていくはずです。

 恐ろしいことは、人の怒りです。自分の思うとおりにならないことを悪と断じて、怒りで自己表現をすることは、簡単ですが慎むべきです。怒りの感情に包まれていると、因縁を明らかにさせることができません。大人は良い時代も経てきたので、少々は怒った方が良いなんて思うのかもしれません。子どもたちは、信頼や良心が失われた社会で育ち、怒りに包まれた喧噪をあたりまえのこととして生活します。そういう手本を見せれば、子ども同士の社会で何がおこるかは容易に想像できます。世の中のはすべて単独で存在するものはなく、さまざまな関わり合いの中で、生まれたり消えたりしているのです。放射能の心配がない未来は専門家の手が必要ですが、怒りに包まれていない未来は、ひとりひとりの私たちの行動にかかっています。