令和4年のお盆行事

 

今年のお盆の予定をお知らせします。

 

◎施餓鬼会

慈しみの心を持って、生きるものの霊がやどる 三界万霊を供養をするのが施餓鬼の教えです。 

8月8日(月曜日)

9時30分・11時・14時の3座

 

◎お盆経

お盆のお経をおあげします。

開放した本堂にて下記の日時で行いますので、お好みの時間にお越しください。お勤めは20分ほどを目安とします。本家以外の方や帰省した方なども、それぞれが施主となりご先祖にお香をたむけてみませんか。

 9日(火)9時 10時 11時 14時 15時

10日(水)9時 10時 11時 14時 15時

11日(木)9時 10時 11時 14時 15時

12日(金)9時 10時 11時 14時 15時 

13日(土)9時 10時 11時 14時 15時 

14日(日)9時 10時 11時 14時 15時 

15日(月)9時 10時 11時 14時 15時

 

 

 八百年ほど昔の鎌倉時代は、新たな価値観が生まれ、政治や文化すべてが大きく変わった頃でした。その時代の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で、武家の棟梁へ登りつめた源頼朝が臨終を前に出家をし、髻(もとどり)を切り落とすと、幼い頃に養母から授かった小さな観音さまのお守りが出てきたという場面がありました。出家の導師を修める僧侶は次の経文を唱えます。

 流転三界中(るでんさんがいちゅう)

 恩愛不能断(おんあいふのうだん)

 棄恩入無為(きおんにゅうむい)

 真実報恩者(しんじつほうおんじゃ)

(三界の中に流転して、恩愛を断つことあたわずとも、恩を棄(す)て無為(むい)に入るならば、真実に恩に報いる者なり。)

 これは仏道を求める者が剃髪をする時に昔から唱えられてきたお経で、現在でも葬儀の際に亡き方に対してお剃刀をあてながらお唱えしています。

 流転三界とは、私たち生きるものの世界のことで、生まれ変わりの業がずっと続いている輪廻の様子を表しています。この世界の中で恩を感じること、愛することはとても大切なことで、人生の宝となります。宝物を得ることは喜びとなりますが、一方失うことは苦しみとなり、それゆえに、恩や愛情は心に大きな負担をもたらしてしまうこともあります。自分の思う通りにならない時には、怒りに転じてしまうこともあるでしょう。人としての限界を感じるところです。

 迷いが続く輪廻から離れるということが仏さまの道ですが、仏道では、生きているうちに成仏し安らかな境地にいたることが理想です。

 このお経では、因縁を棄て仏道にすすみ、人に左右をされない心を保って世のために生きることが、真に恩に報いることであることを説いています。

 

 親から子に向かう愛情は慈愛と呼ばれますが、"仏さま"とはあらゆる人に対して慈しみの心を向けることです。子は親の前ではずっと子であり続けるがゆえに、生前に親に恩を返すことはなかなか難しいでしょう。慈しみの心をもって世の中を生きていけば、かならず次の世代へとその良心がつながり、それが命を与えてくれた親や先祖への報恩となります。

 頼朝の三回忌に運慶が造った観音菩薩の胎内には、遺髪と歯が納められていると伝えられています。思うようにならない動乱の世に、せめて命亡き後にでも、慈しみの心を持って確かな成仏を願ったのです。

 まもなくお盆です。今を生きる自分の中に、慈しみの心を感じる時間としたいですね。