環境

 クスノキの手当をして頂いた方が「これだけ大きな木になるには、環境が重要で、このあたりは本当に適していたのでしょうね」とおっしゃっていました。確かに人間の手が入っていない山はたくさんありますが、500年を越える年月を重ねる大木は滅多にありません。広葉樹の大木が持つすがすがしい雰囲気、針葉樹の幽玄さ。共に比較出来ない良さがあり、大木の木陰にいると心がなごみます。環境が整い大木が育ち、さらに大木が環境を良くしています。

 子供にとっての環境は、身近には家庭であり、近所のおじさんであり、学校でもあります。挨拶ができない親の子は、やはりろくな挨拶が出来ないように、成長を重ねる間の環境は大事なものです。しかし、環境だけですべてが決まってしまうのではなく、その子の意志と努力ですばらしい人となる、といった可能性もあります。心と環境は常に相互に作用し、すばらしいものになったり、落ちぶれていったりもするのです。

 環境とは、私たちを取り巻くまわりの状況のように考えてしまい、単純に良い悪いと言ってしまいがちですが、実は自分自身が環境でもあるわけです。高価な学習机や膨大な参考書をそろえることが環境ではないはずです。心があって環境があり、環境の中に心が育つことを忘れてはなりません。