観音さま

f:id:tozenji:20070106160015j:plain

 観音さまとは、「観世音菩薩」あるいは「観自在菩薩」というお名前の仏さまの略称です。キヤノンという会社がありますが、戦前に前身となる会社の開発者が、ドイツ製カメラに劣らないものをと設計試作したカメラに、観音さまにあやかり、カンノン(KWANON)という名称をつけたことに始まり、後に現在のキヤノン(Canon)という会社につながっていったといわれます。

 観音さまの「観」とは、ものごとの本質を見ることであり、目で見るだけではなく、耳、鼻、舌、身体のすべてを使い感じ、心に響きわたらせることです。「世音」とは世の中の人々の救いを求める声です。「自在」とは自由自在に出来るということです。相手に応じて救いの声を聴き、たちどころに自在に救ってくれる仏さまが観音さまです。

 大切な人のことを、きちんと観ていますか、本心からの声を聴いていますかと問い直された時、私たちはなかなかそう出来ているとは言えないでしょう。生きるものにとって、観音さまのような理解者がいてくれれば、どんなにか救われるでしょうか。さらには自分が観音さまのように生きることができればとのあこがれが、二千年を超える観音信仰となっています。

 テレビを通じて多くの情報がお茶の間に届きます。悲惨な戦場や、事件事故の画像が多いニュースですが、それを見ながら食事ができてしまうのは、匂いや熱が伝わってこないからです。あたりまえでしょうと言われるかもしれません。でも、もしも匂いと熱気がテレビを通じて伝われば、とてもじゃないけれど、常時つけていられないでしょう。覚悟をしてスイッチを入れないと、大変なことになりますね。今の世の中を支えている、情報を伝える方法は、けっしてその有り様すべてを正確に伝えているわけではないのです。あたりまえだと思っているところに盲点があり、悲惨なことを嫌とも思わない人が生まれてきている原因の一つではないかと感じます。

 機械がたよりになればなるほど、人間としての想像力がますます必要になってきます。観音さまのように「観る」力が求められます。