お盆を迎えます

 

 仏像を調査するとき、ちょうど病院での検査のように、エックス線スキャンで内部のようすを確認することがあります。すると、頭や胸の位置に、舎利(仏さまのご遺骨)が入っていることがあるのです。この舎利について、お大師さまがお読みになった『大智度論』という書物に、次のような問いかけがあります。

 「仏さまの舎利と、経典に説かれる教えとでは、本当に大切なのはどちらですか。」

 ご遺骨は、その人が懸命に生ききった最後に遺るもので、人生で培われた経験がつまっています。私たちは、たんに物体としての舎利を崇めているのではなく、「かたち」あるものを通して亡き人のおこないを敬っているのです。遺されたものごとに込められた思いを汲みとることで、供養の心は伝わり続けます。

 心という字は「うら」とも読みます。心悲しい(うらがなしい)とは、言葉にしようのない悲しみが、心の中にあるということです。また、心から美しいと思うことを、やまと言葉で心麗し(うらぐわし)といいます。このように、どうしようもなく湧きあがってくる、言葉ではいい尽くせない感情を、誰かに伝えるための方法が、美術などの「かたち」に託すことではなかったでしょうか。仏像の裏にある舎利もまた、仏さまが一生をかけて説かれた教えを敬う心を、後世の私たちに伝えています。

 世の中に変わらないものなどありません。それでも、今日の私が、目の前にある「かたち」を大切にすることができるのは、目には見えない誰かの「うら」と通じ合っているからなのです。

 まもなくお盆です。お迎えのしつらえを整えながら、自己の中にご先祖を感じ、私たちはどう生きるかを考える機会としたいです。

大般若祈祷会

 

令和5年7月23日(日)24日(月) 午前10時から

 

大般若経六百巻は、仏教の肝要が説かれており、般若心経の源となるお経です。

中国の僧、玄奘三蔵が苦心してインドから中国に持ち帰り訳しました。このお話は「西遊記」として親しく伝えられています。その尊さが転じ、このお経に接すれば災いから逃れ福を得るといわれます。

東漸寺に伝わる般若十六善神の御軸と大般若経六百巻は、1745年に平戸藩主のもと、地域の皆さまの篤信により奉納されたものです。

法要では、大般若転読会と護摩祈祷の功徳を味わいます。経典をめくる風にあたり、大般若経に触れることによりご利益を得ていただき、護摩修行では願い事を書いた添護摩木を護摩の炎に入れてお祈りします。

 

お参りの皆さまには、大般若御札をお授けします。お札は玄関内側の高い位置に貼って一年のお守りとしてください。

 

法要後は音楽会と講座です。

 

23日は市原隆靖さんをお迎えし、「いっちゃんの楽しい コンサート」を行います。

市原さんはYouTube配信番組「お寺でじぃーん」で対談をしたご縁で、今回は音楽会を行なっていただきます。

 

24日は当山副住職の講座「美術が伝えるお大師さまの教え」を行います。

1300年の時を超えてあり続ける、仏像、仏画などから、お大師さまが私たちに何を伝えようとしていたかを探るお話です。

 

両日ともに楽しいお時間となりますので、どうぞお参りください。

 

市原隆靖さん
長崎県長崎市出身。長崎大学大学院(教育学)、慶應義塾大学大学院(政策・メディア)修了。
司会者として、コンサートMCやテレビ番組の出演ほか番組企画・編集なども行っている。
音楽家として、オーボエ演奏や歌でのコンサート活動(作詞作曲によるCMソング等も)。
その他、講師として全国で講演会などもおこなっている。
・長崎大学教育学部(小学校教員養成課程)卒業
・長崎大学大学院(教育学)修了
・慶應義塾大学大学院(政策・メディア)修了
・音楽活動(オーボエ、歌、作詞作曲)
・司会活動(テレビ番組、コンサート司会など)
・企画編集活動(プロデュース、番組編集など)
公式website www.1chan.com
facebook takayasu.ichihara.5
Instagram @takayasu_ichihara
twitter @1chancom

 

今年もむつごろう会が行われました


佐世保北高7回生3年5組の皆さまは「むつごろう会」という集まりを毎年開かれております。
昭和56年、担任の伊藤民三先生が他界された後は、7月5日午後3時に本堂で欠かさず供養を続けてこられました。
今年は米寿をお迎えになった松尾力さん、宅島富士彌さんのお二人でおいでになりました。
水もしたたるいいカワセミは、宅島さんが市役所付近で撮られたもので、西日本新聞に掲載されたお写真です。
 

八十八ヶ所お砂踏み法要

令和5年5月8日(日曜日)午前11時から法要

 

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 境内の西面にひろがるお砂踏み霊場は、写経を奉納する七重石塔を中心に、八十八の石仏をおまつりして、踏み石の下に四国八十八ヶ所霊場より伝わるお砂が埋めてあります。

 当日は般若心経写経を奉納し、お参りしていただきます。この法要は前もって、写経用紙・納め札のセットをお求めいただきます。納経料は千円です。

 写経は人に見せるためのものではありません。書き上げる間に、今の自分の心と向き合うためのものです。写経用紙はなぞり書きです。難しそうですが、まずは鉛筆でもかまいません。ご家庭で都合のよいときに、あるいは、当日9時から11時まで写経ができるように広間を開放します。90分ほどあれば書き上げられます。

 

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 また、当日午前9時にお寺を出発して、奥の院岩問山を参拝いたします。 山道で足元が悪い場所です。手すりのない川の側道や急な勾配があります。片道20分ほど時間をかけると、気持ちよく登れる山道です。運動靴着用のうえご参加下さい。

 

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(奥の院参りは、雨天の場合は中止といたします)

春を迎えて

御衣黄桜と大村桜


お釈迦さまは、善い友(導きを与えてくれる人)と共に過ごすことの大切さを伝えます。悩みや苦しみは、人との関わりから生まれます。善い行いができる人と接すると安心が得られますから、そういう出会いを大切にしていきたいものです。

しかし、どこにでも善い友があるわけではありません。善い友が見つからない時に感じるのが孤独感です。お釈迦さまは群れずに力強く生きるサイに喩えて「サイの角のようにただ独り歩め」とも説きます。

一人っきりだと焦ったり、寂しさをまぎらわそうとしてしまいがちですが、できる限り自分自身の生活を見つめ、それを善いものにしていくことが大事です。人との出会いがない時には、本でも読んで知識を深めて、自らを高めるようにしたいですね。

春は出会いと別れの季節です。もしもちょっと寂しいかなって感じることがあれば、新たな道を願っている自分がいるのかもしれません。

 

われらは実に朋友を得る幸を讃(ほ)め称(たた)える。

自分より勝(すぐ)れあるいは等しい朋友には、親しみ近づくべきである。

このような朋友を得ることができなければ、罪過(とが)のない生活を楽しんで、犀(さい)の角(つの)のようにただ独り歩め。

『ブッダのことば(スッダニバータ)』中村 元訳 岩波文庫

花まつり


令和5年4月9日(日曜日)

午前10時と午前11時30分の二座

 

花まつりは、お釈迦さまのお誕生を祝う行事です。生花で飾りつけた花御堂のお釈迦さまへ、甘茶をかけておがみます。咲きほこる花のように、健康に生きていけますよう願い、お祈りします。

 

また同時に、お子さまの健やかな成長も御祈願しますので、ぜひご一緒にお参りください。

 

赤ちゃんのお加持会

身体健全、子育成就をお祈りし、お数珠をお授けします。

 

新一年生ランドセル加持会

学業成就、登校安全をお祈りしお守りをお授けします。ランドセルをお持ちください。

 

 

また、境内では青空スイーツ(パルパンさん、江口製菓舗さん、梶山製菓さん)がお店を開き、素敵な春の日となりそうです。

https://instagram.com/aozora_sweets?igshid=YmMyMTA2M2Y=

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春のお彼岸会

春のお彼岸会

令和5年3月18日(土)から21日(火 春分の日)までの四日間、午前10時にお経をあげます。ご先祖供養、水子供養も重ねて行います。

彼岸はお寺でご本尊さまを拝み、お位牌堂の花をかえ、墓前と仏壇を清らかにしましょう。

©️牧宥恵 https://www.makiu-kei.jp

 

われがわれがの我を捨てて おかげおかげの下で生きよう

我が強いと聞く耳がなくなります。そうすると他人から学ぶ心がなくなってしまいます。我が強いと人と比べてしまいます。そうすると他人の悪いところを探すようになります。人に学び、人と比べずに生きていきたいです。

負けることや恥ずかしさの経験は、できればしたくないですが、我から離れた心をととのえる練習だったと思えば、なんだか許せることもありそうです。

本尊さまの前で手を合わせる一時は、我を張らないでよいですね。そういう心をつなぎ合わせていくと、すこし上手に生きていけそうです。

素敵な春の訪れです。