一隅を照らす

 お大師さまと同じ時代に仏教をひろめた方に、比叡山の伝教大師最澄さまがおられます。その有名なお言葉です。

 

「一隅を照らす者、かれこそ国の宝である」

 

 私たちは日々の暮らしの中で、何のために生きているのか、いてもいなくても世の中は変わらないのではと、疑問を感じることがあります。人を見れば、すべてがうまくいき、陽があたる生活をしているように見えて、それに比べて私はと、不安な心に閉ざされてしまうこともあります。迷う時こそ、自分ができることを徹していくべきです。

 

 一隅を照らすような仕事は地味なことで、たとえ一人の人が喜ぶだけだったとしても、その行いは誰も真似ができないことです。自分がいる場所で、自分なりの精一杯を生きつづけるだけで大丈夫です。