分別しないこと

 分別というと、よく見かけるのが「分別(ぶんべつ)収集」です。きちんと分けると正しいのがゴミの世界です。広辞苑を引くと「世事に関して、常識的な慎重な考慮・判断をすること、またその能力」とあり、やはり、正しいことのように見受けられます。

 
 仏教での「分別」とは、私たち一 人の浅い智慧を意味します。対してほとけさまの智慧は「無分別」といい、分けないからこそ徳が高いとされます。私たちはどうしても、人や物事を分けて考えてしまいます。たとえば子供にしても、つい頭ごなしに良い子・悪い子などと分けて対応をしてしまいます。ですが、良い子の中の悪い部分、悪い子の中の良い部分を見つめる眼が、ほとけさまにはあるというのです。
 
 自分の価値観とか、その場しのぎの判断で分別をすることは、楽ですが怖いことでもあります。すべての事を短絡的に分けない、柔軟な無分別の智慧が仏教では求められます。