手を合わせる

 ずいぶん冷え込みが厳しくなってきました。寒い時には私達は自然に手を合わせています。冬場は不信心な人も自然に合掌をしているものです。合掌する姿は私達にとって暖かく、強く、尊いものです。

 人間の運動機能のうち3分の1が手にあり、神経や筋肉が集中していて手の手術はとても難しいと云われます。それだけに手はその人の生活や性格があらわれます。「手は外に出ている頭脳である」とは哲学者カントの言葉ですが、大いに使わ事が健康の基本といえるでしょう。

 さて仏さまは手をどのように使っているのでしょうか。本尊さまを見ると、右掌をあげて私達の方に向けておられます。これは施無畏の印といって様々な不安や恐れをなくそうとする働きを示します。対して左手は、様々な願いをくみ取ろうと掌をさげておられます。これを与願の印といいます。

 お寺の本尊さまは薬師如来で、ここに薬壷を持たれています。仏さまの手は、私達に対する様々な働きかけを示すものなのです。

「右仏左は吾と合わす手の、うちぞゆかしき南無の一声」弘法大師